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心理療法家が観た『シン・仮面ライダー』

更新日:2023年4月12日

先日、シン・仮面ライダーを観に行きましたので、ネタバレ有りで、感想を書いていきます。


まず、私はこれまで仮面ライダーを見たことはありませんでした。


庵野秀明ファンなので、一連の作品として観に行ったクチです。



世の中の評判は、真っ二つに割れているようですね。


そんな中で、私はかなり楽しめました。


特に気になったのは、浜辺美波演じるルリ子が行う「パリハライズ」という技?でした。



ルリ子も組織で生まれた人造人間的な人なのですが、自分の脳とパソコンを直接つないで操作したり、自分の心と人の心をつないで操作したりする能力があります。


その能力を使って、洗脳されている敵を、脱洗脳するのですが、その脱洗脳のようなことを「パリハライズ」すると言っているわけです。



さて、このパリハライズですが、これはもうかなり現実のトラウマケアに近いと思います。


少なくとも私が行っている「ことばにする®」にはかなり近いです。


ことばにする®では感情を言語にして表現するのですが、パリハライズは、非言語系である点が大きな違いです。


言語を用いずに非言語でのトラウマケアも、実際に存在しています。



また、仮面ライダー2号にパリハライズする際に、ルリ子は、「ショッカーの洗脳手法は、悲しい記憶を心の奥底に押し込めて、多幸感で上書きする方法だ」と言っています。


この「悲しい記憶を心の中に押し込める」というのはまさに抑圧であり、やや広い定義のトラウマと言えるでしょう。


そして、その悲しい記憶を蘇らせることで脱洗脳をするというのが、パリハライズなわけです。


そして、パリハライズを行った後、仮面ライダー2号は、溢れる悲しみを味わい、そしてトラウマから解放される恍惚感を味わうシーンがあります。


そして、仮面ライダー2号は洗脳から覚めて、本来の自分を取り戻すのですが、実際のトラウマケアでは、悪夢から覚めて、本来の自分を取り戻すわけです。


このパリハライズの一連の流れは、まさにトラウマケアの流れであり、私のセッションでもよく起きる現象です。



「トラウマ」という言葉はドイツ語で「夢」とか「悪夢」という意味です。


この言葉通りトラウマ持ちの人生は、悪夢を見ながら夢うつつで生きるようなものです。



アメリカの映画では心理療法を行うシーンが扱われるのは、結構よく見かけていたのですが、最近は日本の映画やアニメでも見かけるようになりました。


そういう形で、メンタルケア、トラウマケア、あるいは心理療法について、世の中に浸透していくことはとても良いことだなと思っています。


トラウマの1つや2つは誰でも持っている物ですから、程度の差こそありますが、みんな悪夢にうなされながら生きているのが現実です。


そういう意味では、悪夢から目を覚ますのが心理療法と言えるかもしれませんね。











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