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心理療法家が観た『すずめの戸締り』

昨日の仮面ライダーについての記事に続いて、今日は『すずめの戸締り』について語ってみましょう。ネタバレありです。


『すずめの戸締り』は東日本大震災をテーマとした新海誠のアニメです。


心理療法家が、「東日本大震災」と聞けば、「トラウマ」を連想してしまうわけですが、このアニメはまさにトラウマとトラウマケアを語る物語でした。


まず、冒頭は、主人公の鈴芽が、震災の時に母を探す悪夢のシーンから始まります。


いきなり冒頭から、物語の大前提として、主人公はトラウマに苦しんでいるということが語られているわけですね。


ここで言いうトラウマは近親者の命が危険にさらされていますから、狭い定義でのトラウマ、つまりPTSDの診断基準にも合致するトラウマであると言えます。


そして、その後主人公は目を覚まして、学校へと出かけていくわけですが、通学途中にイケメンと出会うわけです。


場所は九州、季節はセミが鳴く真夏ですから、相当暑いと思われるのですが、このイケメンがなんと、白いロングのカーディガンを着ているんですね。


こういう設定的に無理がある表現は、意図的に何か伝えたいメッセージを含んでいると考えられるわけですが、この場合は、このイケメンの役割が、精神科医とかカウンセラーのような治療家的な役割を担うという意味だと思います。


つまり、白いロングのカーディガンは、「白衣」の変形的な表現だと思うわけですね。


そのように解釈すると、トラウマ持ちの主人公が白衣をきた治療家と出会って・・・これからトラウマケアを始めます、というのがこの映画の冒頭のメッセージとして宣言されています。


もちろん、そのイケメンは心理療法家ではないですから、心理療法をするわけではないのですが、主人公と一緒に旅に出て、主人公に寄り添い続けるという形で、トラウマケアが表現されていきます。


このイケメンはその後魔法によって椅子にされてしまって、物理的にはあまり役に立たないというか足を引っ張る存在になってしまって、ただただ主人公に付き従って、主人公の心に寄り添うというのが役割となってゆきます。


その存在意義もまた心理療法的だなと思います。



さて、この『すずめの戸締り』については語りたいことが沢山あるので、今日はこれでいったん終わります。


つづきはまた後日、ということにさせてください。



『すずめの戸締り』予告

https://www.youtube.com/watch?v=F7nQ0VUAOXg



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