人は死んだらどうなるのでしょうか?
この人類最大の謎に、知の巨人 立花隆が挑んだ傑作です。
オカルトめいたタイトルですが、実際の体験談や実験などに基づいて、科学的に検討している良書です。
立花隆の著書ですから当然ですね。
私は大学生の時に読んだのですが、20年経った今も心の中に残っています。
臨死体験というのは、一度死んだ後に、しばらくして生き返った人の体験のことです。
医者が死亡を確認したうえで、その数日後に生き返るという現象がたまに発生するということは、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
死亡が確認された後に、焼き場に行くまでには数日の間を置きますよね。
あれは、稀に生き返るケースもあるため、時間を置くのだそうです。
この書籍『臨死体験』は、立花隆が古今東西の臨死体験の体験談を集めて、人は死ぬときにどんな体験をするのか?死とは何か?意識とは何か?を探求していく本です。
かなり数多くの体験談を集めているのですが、割と数の多い古典的パターンとして挙げられているのは、「三途の川パターン」と、「明るい光に包まれるパターン」です。
東洋では三途の川が多く、西洋では明るい光が多いそうです。
つまり、臨死体験は、文化的影響を受けていると言えるわけで、ならば主観的体験や脳内現象にすぎないのではないか?という説が浮上します。
その一方で、なんらかの物理的現象ではないかという説も捨てきれない体験も紹介されています。
死後にいわゆる幽体離脱して、体が空へと昇っていく過程で、ベランダに靴が落ちている景色を目にしたという臨死体験で、生き返ったあとにベランダを確認したところ実際に靴が落ちていたという体験です。
この体験の場合には、魂が存在していて、死ぬと肉体から離れていくという説が支持されることとなりますね。
まあ、そんなこんなで、結論的には、臨死体験が、主観的な脳内現象に過ぎないのか、それとも本当に魂現象なのか?という結論には至らずにこの本は終わりを迎えます。
もちろん死ぬとどうなるか?という疑問にも確たる答えはでないのですが、膨大な検討を重ねた末での結論なので、満足感のある内容になっています。
思えば学生時代にこの本を手に取ったときは、オカルトめいた好奇心から始まったような記憶があります。
しかし、冷静に考えてみれば、死は全ての人に訪れる事実であると同時に、稀に生き返るという現象も、事実として存在するわけです。
それなのに、その事実に背を向けてオカルトだとレッテルを張る行為は、それこそ非科学的な態度だなと思ったりしました。
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