今日は4つ目の自己効力感を高める方法「④成功時の体感を味わう」について説明します。
この④こそ、最も面白い方法であり、心理療法のスキルを使うことによって、それこそ1時間もあれば、自己効力感を爆発的に高めることが可能です。
(3つ目の方法「人からできると説得される」は、そのままのことなので割愛します。)
「成功体験を積む」と「成功時の体感を味わう」は何がちがう?
そもそも、バンデューラーが指摘している4つの方法の中で、④成功時の体感を味わうというのは、他の三つに比べて異質な感じがしないでしょうか?
①成功体験を積む、②他人の成功を見聞きする、③人から「できる」と説得されるの3つは、どういうことなのかパッと理解可能なのですが、「④成功時の体感を味わう」だけはちょっと何を言っているのは理解ができないと思います。
そもそも「①成功体験を積む」と「④成功時の体感を味わう」は、似ている気もします。成功体験をすれば、もれなく体感がついて回るわけですからね・・・。
それを、あえて①と④との違いは、一体何でしょうか?
それは、実際の体験であるか、仮想の体験であるかという違いです。
①は、物理的に何らかの行動を行って、成功を収めるという体験をすることです。当然ながら、その際には、成功時の体感も伴っています。
それに対して②は、物理的な行動を行わずに仮想的な体験として、成功時の体感を味わうことです。
どういうことかと言うと、現実ではなく、成功している状況をイメージして、そのイメージとともに生じる体感を味わうということです。
高齢者向けの心理療法 回想法の効果
高齢者を対象とした心理療法として、回想法というものがあります。
これは、高齢者が昔あの事を思い出したり、語ったりするという方法で、自己効力感が高まるという効果があります。
例えば、車いすに座っている男性高齢者に、軍歌を聞かせて、三八式歩兵銃のモデルガンを渡すと、車いすから立ち上がって歩き出すなどという現象が報告されています。
どうしてそういうことが起きるかといえば、回想することによって、若い時代の体感、成功した時の体感を味わうことで自己効力感を取り戻すからです。
回想法では、現実に成功体験をするわけではなく、成功を思い出しているだけです。
仮想的に成功を再体験しているにすぎないのですが、それによって車いすの人が歩き出す程度には、自己効力感が高まります。
余談ですが、私はこの回想法をテーマとした自分史の事業を起業して、グッドデザイン賞を受賞したことがあります。
イメージでの仮想体験。そこからさらに一歩深めて・・・
「④成功時の体感を味わう」とはつまり、イメージを用いて仮想的に成功を体験するということだと理解してもらえればと思います。
さて、これで話が終わってしまうと、「なんだそんなことか・・・」という期待外れ感が否めませんね。つまらない話です。
自己効力感を爆発的に高めるには、もう一歩議論を深める必要があります。
私が行っている「ことばにする®」という心理療法では、目を閉じてイメージを行います。
そして、そこで生じた視覚的イメージや体感覚を言語に変換していくことによって、問題を解決していくのですが、これを行うことによって成功に関して抱えている問題から解放されることができます。
誰もが成功したいと望んでいると思うのですが、それは意識の浅い部分の話にすぎません。
意識の深い部分には、成功に対するネガティブな気持ちを隠し持っています。
例えば、「成功は難しい」「私には無理だ」「ずるい」「羨ましい」「足を引っ張ってやれ」というような気持ちです。
目を閉じてイメージをすることで、自分の心と向き合っていくと、心の奥に隠れているそういう気持ちが、露わになってきます。
その露わになった気持ちを、言語化していくと、その気持ちは解放されることとなります。
成功を否定するような気持ちから全て解放されたとき、「成功はすぐ手に届く」「むしろすでに成功しているかもしれない」と思えるようになります。
そのように認識が改まれば、自己効力感が高まるのは当然ですし、十分に言語化できれば、爆発的に高まることとなります。
「スーパーサイヤ人現象」に注意。
どれくらい爆発的かというと、「スーパーサイヤ人」「マリオのスター状態」というところまで高まります。つまり「無敵状態」と言うことです。
ただ、無敵状態は数日で収まります。
これまで、自分を押さえつけてきた重りが外れて、一時的に興奮状態になるのですが、数日後にはその状態が当たり前になって無敵状態は収まります。
自己効力感を100点満点と考えて、自己効力感30点だった人が、数日間だけ300点くらいになって、数日後には80~90点くらいに落ち着いて以後継続するという感じです。
そのような変化があるので、自己効力感セッションを行う時には、前もって「スーパーサイヤ人になってしまうので、気を付けるように」と注意をしています。
と言うか、まだその段階でない方からの依頼にはお断りすることもあります。お断りする必要があるくらい効果が強いということですね。
そういう方は、もう少しセッションを進めていって、全体的に問題を解決してある程度整ってから、自己効力感セッションをすることになります。
30点の人がいきなり300点ぐらいに⁉︎にビックリ、今の自分なら耐えられないのでは?!?と怯みましたが、まずはその段階になるまで問題を解決して整ってから、なのですね。ナルホドです。
それにしても、興味深いお話ですね。
人生つらい人、勝負したい人、アスリート、がんばり抜きたい人…いろんな方が来られそうですね。