今日は、自己肯定感について語ってみましょう。
実は、自己肯定感という言葉には、明確な定義がないという問題があります。
心理学の言葉と言うものは、「誰が言った何々」という風に、その言葉を作った人の名前とともに語られます。
というのも、心理学の言葉には物理的な実体がないので、話す人によって、意味合いが微妙に違ってしまいます。
そこで、「フロイトの無意識」「バンデューラーの自己効力感」「ロジャースの自己一致」と言ったように、その言葉を作った人と言葉をセットで覚えることが真面目な心理学には必要不可欠なのです。
ところが、「自己肯定感」という言葉は、誰が言いだしたのか、謎の言葉なのです。
誰が言ったかわからないということで、実はその定義もハッキリしていないのです。
と、いうことで、人によって微妙に意味合いが異なるのが自己肯定感という言葉の運命なわけです。
それによって、自己肯定感という言葉の使い方も人によって違っていて、「あの人は自己肯定感が高い(低い)」という言い方をする人と、「あの人は自己肯定感が強い(弱い)」という言い方をする人がいたりします。
まあ、どっちも似たような言葉だから、どっちでもいいような気がするのですが、実は高低と強弱、それぞれの意味合いが理解できると、何を目指すべきなのかが分かってきます。
時によって変動するのが、自己肯定感の「高い低い」
それでは、まず高いと低いの話をしましょう。
自己肯定感というものは、同じ人物の心の中でもその時その時で変動するものです。
あなたも、良い時期で調子が良ければ自己肯定感は高まっていますし、
悪い時期で調子が悪ければ自己肯定感は低くなってしまいます。
つまり、時の流れの中で変化する自己肯定感のその時の状態の良し悪しの軸が、高低です。
高く維持する能力が、自己肯定感の「強い弱い」
さて、それでは、自己肯定感が強いとは、どういう意味合いなのでしょうか?
それは、例え悪い時期であっても、ある程度の良い状態を維持できることを意味しています。
悪いこと、辛いこと、苦しいことがあって、動じることなく自分を肯定しつづけることができるということです。
つまり、良い時期と悪い時期での波の上下の幅が小さくて、かつ高い状態を維持できること、できる能力のことを自己肯定感が強いというわけです。
逆に自己肯定感が弱いと、悪いこと、辛いこと、苦しいことが起きると簡単に自己肯定感が下がってしまって、「もうダメだ・・・」となってしまいます。
グラフで表現すると、赤い線が自己効力感が強い人、黒い線は弱い人ということです。
より本質的に重要なのは、「強・弱」
この高低と強弱の2つの軸を理解することが重要なのは、本質的には何が大切なのかが理解できるからです。
このグラフを見れば、高低よりも強弱のほうが大切なのだということが分かるでしょう。
一時的に自己肯定感を高めるというのは実はそこまで難しくないんですね。
例えば、ホストクラブでは、お金を使えばイケメンたちがチヤホヤしてくれて、自己肯定感を高めてくれるので、自己肯定感の弱い女の子がそういうとこにハマってしまうわけですね。
しかし、その時は一時的に高まるのですが、またしばらくすると下がってきて・・・ということになります。
こういう話はあまり意味がなくて、自己肯定感を強くすることのほうがより本質的な問題解決というか、本質的に幸せになれるわけですね。
当然ながら、心理療法家が自己肯定感を扱う場合には、高めるのではなく、強めることを目指すわけです。
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