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執筆者の写真北林陽児

「向き合う」とはどういうことか

前回では、「誰かに投影した自分の要素に気づくことで、その要素を向き合えば成長する」というような内容でしたね。


例えば、Aさんは、Bさんを「嘘つき」だと言って批判している場合、実はAさん自身の中に「嘘つき」の要素があるので、それと向き合うことで、「嘘つき」を乗り越えられるということです。


投影して批判する内容が「嘘つき」でなく、怠け者、挫折した人、不倫している人でも、なんでも同じことが言えます。


さて、しかし、「それと向き合う」という部分がなんだか抽象的で分かりにくいのではないかと思いますので、今日はそこを解説しましょう。


まず、Bさんのことを「嘘つき」だと批判してしまう背景には、自分自身に嘘つきな要素があると同時に、そんな自分自身を否定的に捉えていて、そういう自分自身を受け入れることができていないことを意味しています。


ですから、まずは、「もしかして嘘つきなのは自分なのだろうか・・・?」という疑いというか、仮説から入っていくことになります。


この仮説の段階で、精神的負担は結構重くて、その仮説を立てることや、その仮説をそれ以上検討していくことが難しいかもしれません。


しかし、その仮説を詳しく感じていくと、「たまに嘘つきたいとは思うよね。つかないけど」とか「嘘をつくかつかないかで葛藤することはあるね」とか、少しづつ自分のことが分かってきます。


そうすると、だんだん自分の中に「嘘つき」の要素が多少はあるということが分かってきます。この「分かる」ということは「自分も嘘つきだった」と認めることとほぼ同じでしょう。


この「認める」ということができると少し楽になってきて呪縛から少し解放されるでしょう。


しかし、その段階で、完全に解放されるわけではありません。


そこからさらにもう一歩深めていくと、嘘つきである自分に対する否定的な思いがあるはずです。


それは例えば、恥ずかしい、ダメな奴、後悔、自責の念、悲しみ、怒りとかそういう感じの感情です。


自分が嘘つきであることに対して、そのような否定的な感情を持っているからこそ、自分が嘘つきであることを認めることができないし、他人を見て批判してしまうわけです。


ですから、今度は、その否定的な感情と向き合っていくわけです。


そこまで踏み込んでいくと、嘘つきであることに自分自身がいかに傷ついているかに気づくこととなります。


ここで「気づくこと」は「認めること」とほぼ同じことですね。つまり、自分は嘘をついてしまったことで傷ついているということを認めるということになります。


そして、この「認める」という心的な行為が、その傷を癒すこととなり、嘘つきであることに対する否定的な感情は、解消されることとなります。


さて、ここで、嘘つきに対する否定的な感情が解消されるとどういうことが起きてくるのでしょうか?


まず、「嘘つき」や「嘘」に対する考え方が変わってきます。


否定的な感情がなくなるわけですから、以前よりもニュートラルな立場で「嘘」を感じることができるようになるので、例えば「相手のために嘘をつくこともあるよね」とか、「嘘が必要なときもあるよね」とか言うように、よりニュートラルな立場で「嘘」の別な側面に気づくようになります。


さらには、「嘘つきだ」と批判していたBさんについて、「私のためだったのかも?」とか「そもそも嘘ではなかったかも」といったように、見え方が変わってきます。


もっと言ってしまえば、「嘘で満ち溢れた汚い世界」と思っていたものが違って見えてくるかもしれません。


このような変化は、感情が解消された次の瞬間から起きて、コロッと思考が変わります。


さらに面白いことには、そのように認識が変われば、物理的な視覚にも影響が出てきて、視覚的に世界がキレイに見えるとか、輝いて見える、というような現象も起きてくることがあります。(大げさではなくしばしば起きる現象です。)


他人がどう見えるか、この世界がどう見えるかということは、実は自分の心次第というか、心そのものだということですね。


また、世界の見え方を変える方法は、「自分の心と深く向き合って、深く認めること」であるわけです。


ただ、かなり難しい作業で、視覚に変化が起きるほどの深いレベルでの行うには、それなりのスキルが必要だとは思いますが、あなたがどんな世界で生きていくかは、あなた次第で決めることができるのです。





物理的な視覚が変化する現象については、こちらの記事をご覧ください。

https://www.kotoba-suru.com/post/20230720


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