私は、レストランやホテルなどで、絵画がかかっていると必ず足を止めて鑑賞するようにしているのですが、絵画はなかなか面白い物です。
私のブログのトップ画像でも、プロ画家の友人が描いた油絵を採用していまして、私のお気にいりの絵です。
先日、その友人の絵画教室が展覧会を開いたので、見に行ってきました。
絵画教室ですから、講師である友人以外は、アマチュアばかりなのですが、非常に面白いものでした。
心理療法の仕事をしていると、相手を観察することが習慣になって、表情や服装などから相手の性格や気持ちなどを推察するようになります。
絵画の鑑賞もそれと同じで、絵を見ると、描いた人の性格や、年齢、絵のキャリア、講師との関係性などを、推察することができます。
そのように鑑賞すると、絵画のスキルは関係なく楽しむことができて、充実した時間でした。
さて、前回のブログでは、宮崎駿の『君たちはどう生きるか』は、投影法の性格検査のようだと述べました。
絵画から、その画家の人物像を推察するというのも、それと同じ話です。
白いキャンパスに自由に絵を描いていけば、そこにその画家の心が投影されることは、間違いなく起きてくることです。
実際にそのような心理テスト、性格検査の方法もあって、例えば、バウム・テストというものがあります。
バウムというのはバウムクーヘンと同じバウムで、ドイツ語のBaum「木」という意味です。
バウムテストでは、その名の通り、被験者に一本の木(果樹)を描いてもらい、そこから性格を推察するという性格検査方法です。
たったそれだけことで、人の性格がわかるのか?と疑問を持ってしまいますが、臨床心理学の教科書にも載っている代表的な検査方法のひとつです。
果樹の絵から推察されることは、例えば根がしっかりと描かれていれば安定的な性格、根が弱々しい場合には不安の多い性格などが考えられます。
また、果実は希望や目標などを意味していて、沢山描かれていれば目標をもって実行していること、バラバラな種類の果実が描かれていれば誇大妄想な目標を抱いている、果実が地面に落ちているならば夢を諦めたことがある、などと考えられます。
どうでしょうか?面白いと思いませんか?
たった一本の果樹の絵であっても、そこには必ず描いた人の心が投影されていると知れば、絵画鑑賞の意味合いも変わってきます。
そういえば以前、ある臨床心理学の教授が、自分のエピソードとして、子供の頃に「家族の絵」が課題になって、お父さんが2人いる絵を描いたという話をしていました。
そしたら、その絵が問題になって、両親が呼び出されて事情を聴かれた・・・と話していました。
その教授の家では、色んな人が出入りするのが当たり前の家で、当時まだ幼かった教授は、家族の境界が良く分かっていなかったということでした。
教育関係者の中では当然のことなのかもしれませんが、先生たちは子供の描く絵からメッセージを読み取ろうとして、ちゃんと目を光らせているんですね。
特に幼い子供の場合には、自分の気持ちを言葉で表現することができないので、絵が心の推察方法として、とても役立つわけですね。
私自身は、特に絵画に興味はなかったというか退屈だなぁくらいに思っていたのですが、心の世界を推察することが職能と言う感じになってから、絵画にも興味が湧くようになりました。
そのように意味合いが変わってくると、退屈だったものが、とても興味深いものに思えてきて、絵画鑑賞にとてもスリリングな面白さを感じるようになりました。
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