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執筆者の写真北林陽児

浪費行動を、認知心理学で分析する

昨日は、私の事例をもとに、お金を使い過ぎてしまう行動について、どのようなことが原因になっているかという話をしました。


その中では、収入があると、「早く使わなければいけない」という感情が湧いてきて、焦るようにお金を使ってしまうということでしたね。


ところで、認知心理学という分野では、コンピューターの仕組みを参考にして、心を情報処理の仕組みとしてとらえることで、心理を捉えています。


その認知心理学の考え方では、人間とは「①五感から情報をインプットして、②心で情報処理して、③筋肉で行動をアウトプットする。」というプロセスを行う情報処理マシンだと考えたうえで、心とは②を担当するものであると定義されています。


昨日紹介した私の事例を、この考え方に当てはめると、「①収入があったという情報がインプットされると、②焦燥感が湧いてきて、③浪費行動をアウトプットする」というパターンを持っていると考えることができます。


このように考えると、目に見える問題は③の浪費行動なわけですが、その原因は②焦燥感が湧いてくることであり、原因は心にあるのだということが明らかになります。


多くの人は、浪費という行動を変化させようとして頑張るわけですが、原因に遡ると心に原因があって、心の問題を解決してしまえば、浪費行動は自然となくなります。


ここで、心の問題とは何かと言えば、「②焦燥感が湧く」ということですが、さらにその前段には収入というインプットがありますね。


つまり、収入があると、意志とは関係なく焦燥感が湧くという仕組みが心の中にあって、その仕組みが問題なわけです。


昨日、自分で自分をコントロールできないことを、コントロールできるようにするのが心理療法だと述べましたね。


「収入があると焦燥感が湧く」仕組みというのも、まさにコントロールできないことに該当しています。


従って、心理療法で何を行うかと言えば、収入と焦燥感の仕組み、つまり2つの結びつきを壊すということを行います。


つまり、「収入があっても、焦燥感なく、平静でいられる」というふうに心の仕組みを組み替えて、①収入がある ②平静を維持 ③浪費をしないという新しいプロセスを生み出すわけですね。


では、一体どのようにして、そのような組み換えを行うかと言えば、焦燥感を観察して、味わい、理解して、記憶を思い出したり、あるいは言語に変換したりするのです。


つまり、「心と向き合う」というような活動を行って、焦燥感を受容するということです。


私がそのような焦燥感を抱くようになった原因は、子供の頃の父親との関係の中で、心の奥に焦燥感を隠して溜め込んでしまったわけですね。


その隠して溜め込んだ焦燥感の存在を改めて認めて、受容していくわけです。


これは、溜め込んできた感情を吐き出すとも言えるようなことで、それによって焦燥感は消えて、スッキリすることになります。


スッキリするということは、「①収入がある ②焦燥感が生じる」というプロセスが生じなくなることを意味していて、それに伴って浪費行動も消えるわけですね。


今日は、私の浪費行動を事例として、解決方法を紹介してみましたが、この枠組みというのは、他の様々な問題に応用可能で、非常に役に立つ考え方です。


さて、昨日からお金の問題について語っているのですが、今日は割と具体性の高いレベルでの解決方法を紹介してみました。


明日はもう少し抽象的でより深いレベルでの心の問題に言及しながら、お金の問題を見てゆきましょう。


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