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執筆者の写真北林陽児

テイカーは、どうしてテイカーになったか?

昨日は、書籍『give and take』を紹介しましたので、今日はどうやったらギバーになれるのか?という話を書いてみましょう。


正直に白状すれば、私自身も長年テイカーだったなという思いがあるので、その経験と心理療法の知見をもとに書いてみましょう。


まず、テイカーについて整理してみましょう。


テイカーとは、与えることよりも受け取ることを優先する人。


いかにして与えるよりも多くのことを受け取るかを常に考えています。


そしてテイカーにとってのgive and takeとは、Take and taken(奪い、奪われる)のことです。


テイカーがこのような行動をとる原因、特に心理的な背景はどのようなところにあるのでしょうか?


私の経験から言えば、それは明白で、空虚、欠乏、不足、不満、喪失といったようなものを心の奥に抱え込んでいることです。


このような気持ちを抱え込んでいると、それらを埋めたいという強い欲求が湧きおこって、埋めるための不合理な行動を起こします。


例えば、過食症や浪費などはその典型例ですが、そのような行動は、心の中の空虚を埋める

ということを目的として行われています。


また、その空虚および、空虚を埋めたいという欲求は、心の奥、つまり無意識にあるものなので、自分の意識や意志ではコントロールすることができず、「本当は止めたいのに、やってしまう」という現象が起きてきます。


さらに、恐ろしいことに、空虚を埋めるために過食や浪費のような行動をとっても、心の空虚が満たさることはないどころか、健康問題や経済問題のような新たな空虚を生み出すこととなります。


ここでテイカーは、自分という存在自体がゼロサムもしくはマイナスサムの存在であるということになるのですが、それは外部世界に対しても投影されるため、この世界全体がゼロサムまたはマイナスサムに見えてしまいます。


つまり、テイカーは自分の空虚を埋めるには、世界のどこかに別な空虚が生まれると考えているわけですね。


つまり、それが、Take and taken(奪い、奪われる)の思考の源泉と言えるでしょう。


以上のようなことがテイカーがテイカーである原因と考えているのですが、つまり、心の奥に空虚、欠乏、不足、不満、喪失のような物を抱え込んでいることが根本的な問題です。


この問題を根本的に解決するためには、その心の問題を解決する必要があるのですが、心へのアプローチの仕方を知らないために、過食や浪費といった間違った方法でアプローチしてしまうわけですね。


では、正しいアプローチとは、どのようなことかと言えば、心の奥つまり無意識にある空虚と向き合って、その空虚を受容することによって、無意識から意識へと上げることです。


私のセッションで行う方法としては、クライエントに目をつぶっていただいて、その空虚をイメージして、瞼の裏に見えてくるものや体に現れる体感を深く観察していき、言葉にするということをします。


心の中の空虚を全て言葉で表すことができれば、空虚は浄化されることとなります。


心の中から空虚がなくなれば、自分自身もこの世界も、マイナスサムではないということに気づき、少なくともゼロサムだと思えれば、マッチャーになることが可能になってきます。


さらに、心の中を、「空虚がない状態」ではなく「満たされた状態」にまでもっていけば、過食や浪費のような行動は、自然となくなります。


さらにさらに「満たされた状態」から「満ち溢れた状態」まで心を変化させることができれば、その「溢れたもの」を有効活用したいと思うようになって、「誰か人に与えるか・・・」という思考が生まれてきます。


そこまで行けば、ギバーが生まれるわけですね。


しばらくブログを休んでいる間に、私も自分と向き合う時間があったのですが、テイカーをマッチャーに、マッチャーをギバーにと育てることに一番の興味があるのかなと思いました。


私の中にある心理療法の溢れんばかりスキルや情熱を、一番有効活用する方法はそういうことなのかなと思うのです。


あ、最後に追記ですが、「ギバーにならなければいけない」と思って頑張って行動すると、空虚や欠乏をさらに強める結果になりかねないので、あまりお勧めしませんよ。


強引にギバーになろうとするのではなくて、まずは自分がテイカーやマッチャーであることを認めて、その背後にある空虚や欠乏などを向き合い深く受容しょうね。


現状、テイカーやマッチャーだって全然いいんですからね。

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