映画「さかなのこ」を見に行ってきました! さかなクンの自伝が原作で、とても面白かったです。 これまで観た映画の中で、一番大笑いしてしまったと思います。
岡田斗司夫が「めちゃくちゃ面白いんだけど、なぜ面白いのかが分からない。 自分はなぜ面白いのかを分析するのが仕事なのに、全く分からない」と言っていて、 それは是非観たい!と思いました。
【公開も終わりましたので、以下ネタバレ含みます。】
この映画の中では詳しく語られないのですが、 お母さんは大変な苦労をされたんだと思います。 さかなクンは、おそらく発達障害があるのではないのか、 と思っているのですが、
その場合、親が障害を受容することが大切だと言われています。 さかなクンのお母さんは、その障害受容がすごく深いんですね。 すごい愛情だなと思いました。
その障害受容の深さゆえに、いろんな面で苦しんだだろうなと思います。 映画の中では、さかなクンは「ミー坊」と呼ばれているのですが、 ミーママは、ミー坊の友達からちょっと変な人的な扱われ方をしています。 変なミー坊を100%受け入れ、付き合うミーママは、 ミー坊同様に「変な人」なんですね。
また、明確には語られないのですが、 ミー坊が原因で、両親は離婚もしくは別居しているようです。 また、ミー坊のお兄さんは、ミー坊に付き合わされて、嫌な思いをしています。
親の意識が障害児に集中してしまい、その兄弟が複雑な思いをするのも 障害児のいる家庭によくある問題でもあります。
ミーママはそういう辛いことを全て飲み込んで、飲み込んで、 さかなクンを育て上げたんだと思います。 ミーママは、まさに無条件の受容をミー坊に与えて、 ありのままのミー坊を完全に受け入れ切っているわけです。 本当に素晴らしい愛情だな、母は偉大だなと思います。
しかし、この映画が独特なのは、 そういうミーママや父親や兄の内面が明確には語られない点です。 登場人物たちの表情や映像描写や文脈の中だけで、 ごくごく、やんわりと表現されているだけです。 そのため、カラッとしたコメディ風に仕上がっています。 さかなクン目線の物語であり、 彼の世界がそのまま表現されているということだと思います。
岡田斗司夫が、何故面白いのか分からないという理由は、ここにあると思います。 さかなクンの感じている世界が独特すぎて、わからないのだと思いました。 普通のエンタメなら描写されるシーンが抜けているのです。
それだけの強烈な個性でも、 母の愛情でこんなにも幸せな人生を送ることができるという、 本当に素晴らしい映画だなと思いました。
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